芦ノ湖畔のホテル「ザ・プリンス箱根」に隣接する「箱根園駅」から駒ヶ岳ロープウェーで山頂を目指す。夏は山々の緑が深い。約7分間の空中散歩で、海抜1,327mの駒ヶ岳山頂に到着。気温18℃。猛暑が続く下界が嘘のように爽やかな風が吹き渡る。周囲一面、刻々と流れる濃い霧に包まれて、富士山はおろか眼下にあるはずの芦ノ湖のパノラマも霞んで何も見えない。
しかし、逆に現実世界から異空間に迷い込んだような感覚が自然と演出されて、不思議とわくわくする。そいうえば、箱根は古(いにしえ)より山岳信仰の聖地だ。駒ヶ岳を主峰として、その隣の神山(1,437m)がその名の通り「神の山」=霊山とされている。

駒ヶ岳山頂には、2005年9月に廃業となった駒ヶ岳ケーブルカーの山頂駅が廃墟となって残っている。また、まるで加速器施設を連想させる謎の廃墟も。かつてスケート場とレストランだったとのこと。こうして霧に包まれたその廃墟は、中国かロシアの秘密基地のようでもあり、核戦争後に朽ち果てた街の残骸のようでもあり、なんだか「ウルトラQ」のワンシーンを彷徨っているような気分だ。
"天から白馬が降り立ち、岩肌にその姿を刻んだ。その蹄の跡とされる凹みは、どんな日照りになっても水が枯れたことがない。"
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そんな伝説が残る馬降石が鎮座まします山頂には、孝昭天皇の頃、聖占上人が神仙宮を祀ったという。 現在その場所には、1964(昭和39)年に堤康次郎の寄進によって再建された「箱根元宮」があって、芦ノ湖畔の「箱根神社」の奥宮として登拝者の参詣を受けている。
プチ異世界探訪(?)の不思議な一時も過ぎて、時間も10時半頃を過ぎると次第に霧も晴れて現実世界に引き戻されてしまう。再びロープウェーで「箱根園駅」に戻ると、「ザ・プリンス箱根」でランチを楽しみ、蛸川温泉「湖畔の湯」でひと風呂あびる。屋根付きの露天風呂につかり、木立の間から垣間見える芦ノ湖の景色を見るとはなく眺めながら、頭の中を空っぽにする。
中年男子のちょっとだけ贅沢な時間。







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